尿でがん検査できるは嘘?分かるがんの種類やデメリット、精度を解説

自宅で採尿するだけで全身のがんリスクが判定できるキットが市販されています。

「尿でがんが分かるなんて嘘っぽい」と疑いの目を向ける人もいるでしょう。しかし、「腎盂・尿管がん」や「膀胱がん」の検査では、一般的に採尿して尿中の血液・がん細胞の有無のチェックや腫瘍マーカー検査を行っています。がん患者の尿には、まだまだ未知の特有の成分が含まれていると考えられ、有益な情報の宝庫なのです。

今回は、尿でがん検査ができる市販のキットについて、分かるがんの種類や精度、デメリット等をご紹介します。

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尿でできるがん検査とは?

尿でできるがん検査とは?

「尿でできるがん検査」とはどのようなものでしょうか。 ここでは、自宅で手軽にできるがん検査キットのうち、特に精度が高いとされる「線虫がん検査」と「マイクロRNAがん検査」の2種類をご紹介します。


【線虫がん検査 】

「線虫」ががん患者の「がん特有のにおい」に誘引されるという性質を利用して、がんリスクの判定を行うものです。 がん検査キットとしては、株式会社HIROTSUバイオサイエンスの「N-NOSE」があります。


【マイクロRNAがん検査

尿中の「マイクロRNA」の組成を人工知能(AI)により解析して、がんリスクの判定を行うものです。 がん検査キットとしては、Craif株式会社の「マイシグナル・スキャン」があります。

尿で分かるがんの種類

尿で分かるがんの種類

尿で分かるがんの種類には、どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、「線虫がん検査」と「マイクロRNAがん検査」の2種類のがん検査キットについて、リスクを判定できるがんの「種類」、「ステージ」、「大きさ」をご紹介します。

種類

まず、リスクを判定できるがんの種類です。

【線虫がん検査 「N-NOSE」】

以下の15種類のがんリスクを網羅的に調べることができます。ただし、この検査ではがん種の特定まではできません。

  1. 口腔
  2. 咽頭がん
  3. 食道がん
  4. 肺がん
  5. 乳がん
  6. 胃がん
  7. 肝臓がん
  8. すい臓がん
  9. 胆のうがん
  10. 胆管がん
  11. 大腸がん
  12. 腎臓がん
  13. 膀胱がん
  14. 卵巣がん
  15. 子宮がん
  16. 前立腺がん

【マイクロRNAがん検査 「マイシグナル・スキャン」】

以下の7種類のがんリスクを個別に調べることができます。

  1. 食道がん
  2. 肺がん
  3. 乳がん
  4. 胃がん
  5. すい臓がん
  6. 大腸がん
  7. 卵巣がん

ステージ

次に、リスクを判定できるがんのステージです。

【線虫がん検査「N-NOSE」】

公式サイトでは、「ステージⅠの早期がんリスクの判定が可能」と記載されています。すなわち、早期発見できる可能性があるといえます。 開発会社は、2020年に消化器系がんについてステージⅠでも高精度でスクリーニングできるという研究論文を発表しています。

【マイクロRNAがん検査 「マイシグナル・スキャン」】

公式サイトでは、「今のがんリスクが、7つのがん種別にステージⅠからわかる」と記載されています。すなわち、早期発見できる可能性があるといえます。 開発会社は、2021年に中枢神経系腫瘍についてステージⅠでも高精度でスクリーニングできるという研究論文を発表しています(中枢神経系腫瘍は、検査キットで判定ができるがん種にはまだ含まれていません)。

大きさ

そして、リスクを判定できるがんの大きさです。 「N-NOSE」でも「マイシグナル・スキャン」でも、ステージⅠのがんリスクを評価できると謳っています。「がんが筋肉層までに留まっていて転移がない状態」とされる「ステージⅠ」とは、具体的にどのくらいの大きさなのか、がん種ごとに目安をご紹介します(がんの大きさの目安があるもののみ)。

  • 非小細胞肺がん   3cm
  • 乳がん       2cm
  • 肝臓がん      2cm
  • すい臓がん     2cm
  • 腎臓がん      7cm
  • 子宮頸がん     4cm

尿でできるがん検査の申し込み方法

尿でできるがん検査の申し込み方法

尿でできるがん検査の申し込み方法について、ご説明します。

「N-NOSE」も「マイシグナル・スキャン」も、公式サイトから購入することができます。「N-NOSE」はドラッグストアでも購入できます。また、これらのキットを取り扱う病院も増えており、人間ドックのオプションとして受けられる病院もあります。

病院の場合

通常の診療の一環として病院で検査を受ける場合の、一般的な流れをご説明します。 採尿は自宅でする場合もあり、結果を病院に聞きに行く場合もあります。

  1. 電話またはインターネットで検査の予約をする。
  2. 予約した日時に病院に行き、同意書と採尿キットを受け取る。
  3. 病院のトイレで採尿し提出する。
  4. 受付で料金を支払う。
  5. 後日、自宅に結果が送付される。
人間ドックや健康診断のオプションとして受ける場合は、病院ごとのルールに従って申し込みを行います。

キットの場合

キットの場合は購入後、自宅で採尿して提出すると、結果が送付されます。

【線虫がん検査 】

  1. 検査キットを購入する
  2. 公式サイトのマイページ登録をして必要事項を入力し、検体の提出予約をする。
  3. 自宅のトイレで採尿する。
  4. 検体を自宅近くの指定場所に提出するか、自宅に集荷に来てもらう。
  5. 約4~6週間後に、郵便とマイページで結果が通知される。

【マイクロRNAがん検査

  1. 検査キットを購入する。
  2. 公式サイトのマイページ登録をして必要事項を入力する。
  3. 自宅のトイレで採尿する。
  4. 検体を郵送する。
  5. 約1ヶ月後に、郵便とマイページで結果が通知される。

尿でできるがん検査の費用

尿でできるがん検査の費用

尿でできるがん検査の費用は、1回いくらなのでしょうか。 ここまででご紹介した2種類のがん検査キットを、公式サイトで購入する場合の価格をご紹介します。ドラッグストアで購入する場合や病院で申し込む場合は、金額が異なることがあります。 ちなみに、これらの検査は保険適用外なので全額自己負担となります。すべて消費税込みの価格です。

  1.  線虫がん検査 「N-NOSE」の「1回検査コース」は16,800円ですが、「定期検査コース」だと1回の検査が15,800円になります。定期検査コースは年1回、2回、3回から選ぶことができます。
  2.  マイクロRNAがん検査 「マイシグナル・スキャン」の「一回コース」は、69,300円ですが、「定期コース」だと1回の検査が64,300円になります。定期コースは年1回、2回、3回から選ぶことができます。
「6万円以上なんて手が出せない」という人もいるかもしれません。最新の分析・測定技術を使い、精度を高めるために厳しい品質管理をしているため、この価格になっています。7種類のがんリスクを個別に評価できることを考えても、高すぎるとは言えません。

尿でできるがん検査のメリット・デメリット

尿でできるがん検査のメリット・デメリット

尿でできるがん検査のメリットとデメリットについてご説明します。 真偽は別として、一般的なイメージとしては、以下のものが挙げられます。 デメリットのうち、「偽陰性・偽陽性の可能性」は、一次スクリーニングであるがん検査には避けられないものです。それ以外のデメリットは、憶測や事実誤認によるものが多いと考えられます。

【メリット】

「簡単そう」

「費用が安そう」

「一度に多種類のがんリスクが判定できそう」

「早期でも発見できそう」

【デメリット】

「尿で分かるなんて嘘っぽい」

「精度が低そう」

「再現性が低そう」

「偽陰性の可能性」

「偽陽性の可能性」

「がん種ごとのリスク判定はできなさそう」

検査方法から見るメリット・デメリット

まず、検査方法についてのメリット・デメリットについて、インターネット上の声を拾いました。

【メリット】

  • 簡便で体の負担がない。
  • 時間がかからない。
  • 「N-NOSE」は比較的安価。
  • 多種類のがんに対応している。
  • 医療機関でも受けられる。

【デメリット】

  • 「N-NOSE」では高リスク判定が出てもがん種の特定ができないので、その後の検査費用が高額になる。
  • 「N-NOSE」は尿検体の提出方法が面倒である。
  • 「マイシグナル・スキャン」は1回6万円以上と高額である。
  • 対応していないがんは見落とす可能性がある。

精度から見るメリット・デメリット

次に、精度についてのメリット・デメリットについて、インターネット上の声を拾いました。 「N-NOSE」については、2023年9月頃からメディアで「検査の信頼性に疑義がある」という報道が多くなり、医療関係者からも疑問の声が上がるようになりました。 「マイシグナル・スキャン」は、販売開始から日が浅いため実際の利用者の声はまだ多くありません。

【メリット】

  • 早期のがんを発見できる可能性がある。
  • 「N-NOSE」で高リスク判定を受け、精密検査で実際にがんが見つかった人がいる。

【デメリット】(すべて「N-NOSE」のもの)

  • 偽陽性になる確率が高く、無駄に多くの人を不安に陥れて高額な検査を受けさせている。
  • がん患者の尿を使っても、高リスク判定が出ないことも多い。
  • 論文の実験はブラインドで行っていない。

尿で分かるがん検査おすすめキット

尿で分かるがん検査おすすめキット

尿によるがん検査キットの中から、おすすめ商品3選をご紹介します(うち2つはすでに紹介済みのものです)。

忙しくてがん検診に行けない方や、手軽にがんのリスクの有無だけでも調べたい方におすすめです。

ウェルテクト

「ウェルテクト」は株式会社ウェルフォートが提供する健康管理をトータルサポートするヘルスケアサービスです。公式サイトから申し込みます。 4つのサービスが含まれ、そのうちの1つ「がんリスク検査」では、以下の3つが提供されます。

  • がんリスク尿検査セット(年3回)
  • 「高リスク」と判定された場合のがんドック受診(年1回、20万円まで無料)
  • オンライン相談、セカンドオピニオンの手配等 自宅で採尿して郵送すると、がんリスクが4段階で評価され結果が送付されます。
  • 他の3つのサービスは「オンライン健康相談」「血液検査」「遺伝子検査」で、検査の進捗サポートも受けられます。

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N-NOSE

「N-NOSE」は世界初の線虫がん検査キットです。線虫が尿中の「がん特有のにおい」に誘引される性質を利用しています。 ドラッグストアや公式サイトから購入できますが、人間ドックのオプションとして導入している医療機関も増えています。

全身15種類のがんについて、ステージⅠのがんリスクを判定することができるので、がんの早期発見の可能性が高まります。

しかし、がん種の特定はできません。 自宅で採尿して所定の方法で提出すると、約4~6週間後に検査結果が送付されます。「高リスク」の判定が出た方には、無料で結果の解説や今後のアドバイス等のアフターサービスを受けられます。

マイシグナル

「マイシグナル・スキャン」は尿中の「マイクロRNA」の組成をAIにより解析するという世界初の技術で、7種類のがんリスクを個別に判定します。ステージⅠのがんリスクを判定できるので、がんの早期発見の可能性が高まります。

公式サイトから購入できますが、人間ドックのオプションとして導入している医療機関も増えています。 自宅で採尿して郵送すると、約1ヶ月後に検査結果が送付されます。

「高リスク」の判定が出た方には、結果報告書で紹介された医療機関でより詳しく検査してもらうことになります。

まとめ

まとめ

今回は、尿でできるがん検査についてご紹介しました。

  • 尿でできるがん検査キットには、「線虫」の性質を使った「N-NOSE」や「マイクロRNA」を指標とした「マイシグナル・スキャン」等がある。
  • 「N-NOSE」では、15種類のがんリスクを調べられるが、がん種の特定はできない。
  • 「マイシグナル・スキャン」では、7種類のがんリスクを個別に調べられる。
  • どちらのキットでも、ステージⅠの早期のがんリスクの判定が可能とされる。
  • 自宅で採尿して提出すると結果が送付される。これらのキットでの検査を受けられる病院も増えている。
  • 「N-NOSE」の定価は16,800円、「マイシグナル・スキャン」の定価は69,300円。
  • これらのキットを使うメリットには、「簡単」、「安価」、「多種類のがんリスク判定が可能」、「がんの早期発見の可能性」といったものがある。 ・デメリットには、がん検査に付き物の「偽陰性・偽陽性の可能性」や、憶測や事実誤認による「検査の信頼性に疑義」といったものがある。

今回の記事で、「尿でがん検査ができるなんて嘘っぽい」と思っていた人にも、検査の精度や信頼性の高さをご理解いただけたと思います。忙しくてがん検診に行けない人は試してみてはいかがでしょうか。

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ご注意事項 リスク検査「ウィルテクト」の性質について:
当検査では、健常者とがん患者から得られた解析結果を照らし合わせ、リスクの度合いを情報として提示します。この検査は体内環境におけるリスクを把握することを目的としています。健康診断や精密検査などのメディカルチェックや疾患予防への対策検討等への参考として利用されます。

検査結果の有用性について:
診断を目的として実施する画像解析や血液・生化学検査等に代わるものではありません。また、体内にがんがあるかどうかを判断する検査ではありません。がんの診断にはがん種ごとに定められているガイドラインに基づく診断が必要です。

参考文献との関連性について:
紹介した検査は、参考文献の統計データを基にお客様の遺伝傾向を予測するものであり、現在のお客様の健康状態とは異なる場合があります。

医療行為との区別について:
当記事で紹介した検査は、医療行為に該当せず、診断ではありません。検査結果は医師の診断内容や処方箋を置き換えるものではありません。