大腸がん検査に用いるCA19-9とは?検査の概要、数値の見方を分かりやすく解説!
CA19-9検査は、大腸がんのリスクを判定する腫瘍マーカー検査です。 大腸がんは近年日本で増加傾向にあり、がん死亡数では2位(2022年)で、がん罹患数では1位(2019年)です。
40歳以上から罹患率が増えるため、年1回の大腸がん検診が推奨されています。 早期発見のためには、がん検診以外にも手軽に受けられる腫瘍マーカー検査もおすすめです。
今回は、大腸がんの腫瘍マーカーの一種「CA19-9」についての概要や数値の見方、検査費用等について、ご説明します。
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そもそも大腸がんとは?基本情報をおさらい
「大腸がん」とは、どのようながんなのか基本情報をご説明します。 大腸がんは日本人の男女ともに罹患数も死亡数も非常に多いため、リスクを下げるためにその症状や原因を知っておくことは重要です。大腸がんの症状・原因について
大腸がんの症状と原因についてご説明します。
◆ 症状
大腸がんは初期症状がほとんどなく、発見時には進行がんになっていることが多いです。以下のような症状が見られたら、大腸がんまたはそれ以外の大腸の疾患の可能性があるため、早めに検査を受けてください。
- 血便・下血
- 便秘・下痢
- 細い便・残便感
- 体重減少
- 貧血
- 腹部の張り
- 腹痛・嘔吐
- 腹部のしこり
◆ 原因
大腸がんの原因としては、「加齢」、「遺伝」、「生活習慣」が挙げられます。
① 加齢
罹患数が増える40歳以上の方には、年1回の大腸がん検診が推奨されています。
② 遺伝
「家族性大腸腺腫症」や「リンチ症候群」等の家族歴がある方は、大腸がんになりやすいとされています。遺伝子検査で遺伝的リスクを調べることができます。
③ 生活習慣
「飲酒」、「喫煙」、「赤身肉・加工肉の過剰摂取」、「食物繊維の摂取不足」、「運動不足」、「肥満」といったものが大腸がんのリスク因子とされます。
健康的な生活を心掛けることで、あらゆる病気のリスクを下げることにつながります。
大腸がん検査に用いられるCA19-9とは
大腸がん検査に用いられる「CA19-9」とは、どのようなものでしょうか。
ここでは、CA19-9が「腫瘍マーカー」と呼ばれる物質の一種であることや、検査の目的についてご説明します。
CA19-9とは腫瘍マーカーの一種
がんのスクリーニング検査の一つとして、「腫瘍マーカー検査」があります。この検査は、がん細胞が作る特定の物質の量をモニタリングする方法です。がんの種類によって様々な腫瘍マーカーがあります。
早期がんの発見には向いていない検査とされていますが、採血だけなので受診者の負担が少なく安価で手軽に受けられる検査です。
「CA19-9」は、腫瘍マーカーの一種です。胃がんや大腸がん、胆道がん、膵臓がん等、主に消化器系がんの腫瘍マーカーとして使われています。
大腸がんでは、他に「CEA」、「p53抗体」等も使われます。 CA19-9は他の疾患でも高い値を示すことがあります。
例えば、膵炎、胃炎、肝炎、子宮内膜症、卵巣嚢腫、気管支炎等の良性疾患や、肺がん、卵巣がん、子宮体がん等の悪性腫瘍です。
CA19-9の目的と役割
CA19-9検査の目的と役割について、「がんのスクリーニング検査の場合」と「がんの治療後の検査の場合」に分けてご説明します。
① がんのスクリーニング検査の場合
一般的に、早期がんでは、腫瘍マーカー検査を行っても数値の上昇が見られないことが多いです。また、がんでない良性の疾患や病気以外の原因で高い数値が出ることもあります。
そのため、スクリーニング目的の場合は単独で使われることは少なく、他の検査の結果と合わせて、総合的にがんのリスクが判定されます。
がん検診や人間ドックの「便潜血検査」で陽性となり、さらにCA19-9の数値が高い場合は、大腸がんの疑いがあるため、「大腸内視鏡検査」等の精密検査を受ける必要があります。
② がんの治療後の検査の場合
がんの治療後、治療効果の確認や転移・再発の有無の確認のために、腫瘍マーカー検査は有用とされ実際によく行われています。
その場合にも、他の検査の結果と合わせて総合的に診断がされます。
大腸がん検査におけるCA19-9のメリット・デメリット
大腸がん検査におけるCA19-9のメリットとデメリットについて、ご説明します。 どんながん検査にも、必ずメリットとデメリットはあります。デメリットを理解し、ご自身が納得したうえで検査を受けるようにしてください。メリット
大腸がん検査でCA19-9を測定するメリットは、以下の通りです。
- 採血だけなので身体的・心理的負担が軽い。
- 費用は比較的安い。
- 大腸がんだけでなく、胃がん・胆道がん・膵臓がん等のリスクもわかる。
- 治療後の再発・転移の有無の確認にも有用である。
腫瘍マーカー検査は、がん検査の中でも手軽で時間もかからず費用も安いため、人間ドックのオプションで選択されることが多くなっています。
デメリット
大腸がん検査でCA19-9を測定するデメリットは、以下の通りです。
- がんがある程度進行しないと数値が基準値を超えないことが多く、早期がんの発見には向いていない。
- 大腸がん以外に、他の多くの良性・悪性の疾患や、疾患以外の要因でも高い数値になることがある。
- 進行した大腸がんでも基準値を超えないことがある。
スクリーニング目的で受診する場合は、あくまで補助的な検査項目であることを理解し、便潜血検査等の他の検査も受ける必要があります。
CA19-9の数値の見方
CA19-9の数値の見方についてご説明します。
腫瘍マーカーごとに基準値が設定されており、基準値を超えた場合は、何らかの疾患にかかっている可能性があります。
医師と相談し、必要ならば精密検査を受けてください。
CA19-9の基準値と高値
CA19-9の基準値は「37U/mL以下」で、この数値以下であれば正常とされます。 この数値より高い場合は、胃がん、大腸がん、胆道がん、膵臓がんといった消化器系がんの可能性があります。
ただし、肺がん、卵巣がん、子宮体がん等の他のがんや、膵炎、胃炎、肝炎、子宮内膜症、卵巣嚢腫、気管支炎等の良性腫瘍でも高値を示すことがあります。
さらに、早期のがんでは高値を示さないことも多く、健常者でも高値を示すこともあります。 そのため、CA19-9検査だけでなく、他の検査の結果と組み合わせてがんリスクを判定する必要があります。
CA19-9の数値が1000以上はがんのリスク大
CA19-9の基準値は「37U/mL以下」です。37~50U/mLで軽度上昇、50~100U/mLで中等度上昇、100U/mL以上で高度上昇とされます。
疾患が原因で基準値より高くなっている場合は、数値が高いほど進行度が高い可能性があります。 CA19-9の数値が1,000U/mL以上になると、がんの可能性が高く、かなり進行している場合があります。
そのため、医師と相談しながら精密検査を受けてください。
膵臓がんでは、100,000U/mL以上の数値を示すこともあります。
良性疾患でも100U/mL以上を示す場合があります。例えば、胆管閉塞や胆嚢炎を伴う胆石症で、10,000U/mLを超える高値を示した症例もあります。
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CA19-9の検査の流れ
CA19-9検査の流れは、おおよそ以下の通りです。
- 医療機関に予約を入れる。
- 検査当日は予約時間までに医療機関に行き、受付を済ませる。
- 問診表に必要事項を記入する。
- 医師から問診を受ける。
- 採血する。
- 検査費用を支払う。
- 後日、自宅に検査結果が送付される。
CA19-9の検査費用
CA19-9検査の費用の相場はどのくらいなのでしょうか。
腫瘍マーカー検査は、大掛かりな装置が必要な他のがん検査と比べると、費用は安くなります。
保険適用と自己負担額
CA19-9検査を受ける場合の費用の相場についてご説明します。
人間ドックや健康診断のオプション等、任意で受ける場合は保険適用外となり、費用の相場は2,000~3,000円程度です。
ただし、他の検査でがんが疑われてCA19-9検査を受けることとなった場合は、保険が適用され1~3割負担となります。
まとめ
今回は、CA19-9を用いた大腸がん検査についてご説明しました。
- 大腸がんの症状は血便、腹痛、貧血等で原因は加齢、遺伝、生活習慣が挙げられる。
- 腫瘍マーカー検査は、がんのスクリーニングのための検査。
- CA19-9は、大腸がん、膵臓がん等の腫瘍マーカーとして使われる。
- 他の良性・悪性疾患でも高値を示すことがあり、早期がんでは数値が高くなないことが多い。
- 他の検査も行い、総合的にがんリスクを判定する。
- CA19-9検査は、がんの治療効果や再発の確認にも有用である。
- メリットは、採血だけなので身体的負担が軽いことや費用が安いこと等。
- デメリットは、偽陰性・偽陽性のリスクがあること等。
- 基準値は「37U/mL以下」。
- 1,000U/mL以上ではがんの可能性が高い。
- 検査費用は、2,000~3,000円程度。 大腸がんは、40歳以上から罹患率が急増します。
早期発見のためにも、年1回の大腸がん検診を受けながら、CA19-9検査も受けることをおすすめします。
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