健康診断でがんは見つけられない⁉︎がん検診と健康診断の違いとは
「健康診断を毎年受けているから、がん検診は必要ない」と思っている方も多いでしょう。
がん検診と健康診断は目的や検査項目などが異なるため、その両方を受けることにより、病気のリスクを網羅的に調べられるなど多くのメリットがあります。
本記事では、がん検診と健康診断との違いやそれぞれの特徴、その両方を受けるメリットについて解説します。
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がん検診と健康診断の違いとは?
この記事において、「がん検診」とは、自治体が提供する「対策型検診」と呼ばれるものに限定します。
また、「健康診断」とは、労働安全衛生法に基づき事業者に実施義務がある「定期健康診断」に限定します。
がん検診と健康診断は、以下のようにそれぞれの目的が異なるため、さまざまな点で違いがあります。
- がん検診: がんの早期発見による死亡率低下
- 健康診断: さまざまな病気のリスクの確認および予防
- 早期発見
がん検診と健康診断の目的
- がん検診:がんの疑いのある人を集団から見つけ出し、早期発見により全体の死亡率を下げることが目的です。 まず、スクリーニング目的の一次検査で「陽性」と判定された方は、医療機関で精密検査を受けて、がんかどうかの診断をすることになります。
- 健康診断:健康であるかどうか、生活習慣病をはじめとするさまざまな病気の危険因子があるかどうかを確認することが目的です。また、結果を受けて生活習慣を改善し病気の予防をすること(一次予防)や、病気の早期発見をして早期治療につなげること(二次予防)も目的としています。 身長・体重や血圧、血液検査などを行い、検査項目ごとに「異常なし」や「要精密検査」などの判定結果が示されます。「要精密検査」や「要治療」、「要再検査」などの項目があれば、早めに医療機関で受診する必要があります。
健康診断で見つけられるがん種とは
健康診断の検査項目の種類は非常に多く、さまざまな病気のリスクを調べることができます。
しかし、がんに関連する検査は限られています。
健康診断の検査項目で、がんに関連するものは「胸部エックス線検査」および「喀痰検査」のみで、肺がんのリスクを調べられます。
ただし、それらの検査の本来の目的は、「呼吸器疾患等の一般的なスクリーニング、結核感染の把握」です。
ちなみに、全国健康保険協会の被保険者(35~74歳)が対象の「生活習慣病予防健診」には、自治体のがん検診とほぼ同じ内容の検査も含まれます。
(乳がん検診と子宮頸がん検診はオプションとして選択する必要があります。)
がん検診と健康診断の頻度や対象者の違い
① がん検診:がん検診の対象である5種のがんについて、頻度や対象年齢は以下の通りです。
- 胃がん 2年ごと、50歳以上
- 肺がん 1年ごと、40歳以上
- 大腸がん 1年ごと、40歳以上
- 乳がん 2年ごと、40歳以上の女性
- 子宮頸がん 2年ごと、20歳以上の女性
② 健康診断:事業者は労働者に対して健康診断を実施する義務があり、労働者は健康診断を受ける義務があります。
すなわち、年齢を問わず常時使用するすべての労働者が対象になり、頻度は1年ごとです。
ちなみに、自営業者の方が同様の健康診断を受ける場合は、自ら医療機関に申し込む必要があります。
なお、40~74歳の方は「特定健康診査」の案内が送付され、安い費用で受診することができます。
がん検診と健康診断の費用面の違い
がん検診と健康診断の費用については、以下の通りです。
なお、がん検診も健康診断も、病気の治療目的ではないので、健康保険は適用されません。
① がん検診
がん検診では、自治体による費用の補助があるため、自己負担額は非常に安くなります。
自治体ごとに自己負担額は異なり、がん検診1種類につき、高くても4,000円程度で100円や無料の場合もあります。
② 健康診断
健康診断は、労働安全衛生法で実施が義務付けられているため、基本的に全額企業負担とされ、労働者の自己負担額はゼロとなります。
自営業者の方が同じような内容の健康診断や人間ドックを受ける場合は、1万~2万円程度の自己負担となります。
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がん検診はなぜ必要?
がん検診により、がんを早期に発見できる可能性があり、それにより生存率も治癒率も高くなります。
厚生労働省は、死亡率低下効果が認められた検査方法があり罹患数や死亡数が多い5種類のがんを、がん検診の対象にしています。
このセクションでは、がん検診による早期発見・早期治療の重要性ついて、信頼性の高いデータを示しながら解説します。
がん早期発見の重要性
「がんは早期発見が重要だ」とよくいわれます。その理由として、例えば以下のことが挙げられます。
- 生存率が上がり死亡リスクが下がる。(次のセクションで詳述)
- 内視鏡手術など、身体的負担の少ない治療で済むことがある。
- 入院や通院に必要な期間が比較的短くて済む。
- 治療費が抑えられる。
ここでは、特に③と④について見ていきます。 厚生労働省の「がんの医療経済的な解析を踏まえた患者負担の在り方に関する研究」という報告書の2011年のデータでは、以下のようになっています。
Ⅰ~Ⅳはがんのステージです。 がんのステージが進行するほど、入院日数や通院回数が増え、治療費も増えていく傾向が見られます。
さらに、この報告書には、がん患者の多くが経済的な困りごとがあり、ステージが進行するほど仕事を辞めた人の割合が増加しているとの記載もあります。
がんの早期発見の重要性が理解していただけたと思います。早期発見には、定期的にがん検診を受けることが必要です。
入院期間(日)
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | |
入院期日(日) | 21 | 23 | 37 | 44 |
通院回数(回) | 14 | 19 | 22 | 25 |
自己負担年額(万円) | 69 | 67 | 91 | 114 |
がん検診による早期発見・早期治療の可能性
がんを早期発見し早期治療することで、治癒する可能性がどのくらい変わるのかを、根拠となるデータを示しながら解説します。
従来は、治癒の目安として「5年生存率」が多く利用されてきました。
しかし、より長期のフォローアップが必要な種類のがんもあり、近年は「10年生存率」もよく使われます。
2024年1月に国立がん研究センターが「2011年 10年生存率集計報告書」を発表しました。
それによると、がん検診の対象となる5種類のがんの10年純生存率(ネット・サバイバル)は、以下の通りです。
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | |
胃がん | 77.6 | 48.9 | 32.0 | 5.9 |
非小細胞肺がん | 62.9 | 28.7 | 12.8 | 2.3 |
大腸がん | 80.4 | 69.8 | 61.2 | 11.1 |
乳がん | 94.1 | 86.6 | 62.7 | 16.9 |
子宮頸がん | 91.6 | 71.8 | 52.5 | 19.0 |
Ⅰ~Ⅳはがんのステージで、数値の単位は%です。 ステージⅠでの10年純生存率が高いがんでも、ステージが進むごとに低下していきステージⅣではどのがんもかなり低くなっています。
早期に発見し早期に治療を受けることで、これまで通りの生活に戻ることができる可能性が高くなります。
健康診断はなぜ必要?
健康診断を定期的に受けることで、生活習慣改善による病気の予防や病気の早期発見・早期治療につながります。
このセクションでは、健康診断のメリットや生活習慣改善への影響、疾病予防の重要性について解説します。
健康診断を受けるメリット
健康診断を受けるメリットとしては、以下のものがあります。
- 健康への意識が高まり、病気の予防につながる。
- 健康診断後に保健指導を受けて生活習慣を改善することで、病気の予防につながる。
- 病気の早期発見・早期治療につながる。
- 多くの人が健康診断を受けて健康になれば、健康保険料の値上がりが抑えられる可能性がある。
- 結果が「異常なし」であれば、次回の健康診断までの間は安心してすごせる。
健康診断の生活習慣改善への影響
健康診断を受けることで、生活習慣の改善につなげられます。
健康診断の結果、「所見あり」の結果が出た方は、医師や保健師から保健指導を受けられる場合があります。
方法は、対面またはオンラインでの個別面談などです。
生活習慣改善は、「運動」・「食事」・「休養」が基本となります。
次回の健康診断までにそれらを特に意識することが重要です。
全項目が「異常なし」だった方も、今後も健康な生活を続けられるよう、現在の生活習慣を見直すきっかけにしましょう。
健康診断による疾病予防の重要性
健康診断の検査項目には生活習慣病のリスクを調べられるものも多く、受診によりその予防につながります。
がんや糖尿病、高血圧症などの生活習慣病による主な問題点は以下の通りです。生活習慣病を予防することがいかに重要か理解していただけると思います。
- 生活の質が大きく低下する傾向が強い。
- 重大な疾患や合併症が引き起こされることがある。
- 日本人の死亡原因の50%近くを占める。
- 治療する際の身体的・心理的・経済的な負担が大きいことがある。
がん検診と健康診断の両方を薦める理由
このセクションでは、がん検診と健康診断の両方を受けるメリットについて解説します。
両方を受診することで、がんとがん以外の病気のリスクを網羅的に調べられるなど、多くのメリットがあります。
がん検診と健康診断の相乗効果
がん検診と健康診断の両方を受けた場合に、どのような効果があるのでしょうか。
がん検診では、がんだけでなく、健康診断では見落としていたさまざまな病気が発見できる可能性があります。
前がん病変であるポリープ、腫瘍、異形上皮などが発見されることも多いです。
がん検診のうち、肺がん検診を例に説明します。
一次検査として行われる胸部エックス線検査で異常が見られる場合は、以下の病気の可能性があります。
- 肺がん
- 肺炎
- 肺結核
- 肺気腫
- 気管支炎
- 気管支拡張症
- 気胸
- 胸膜炎など
がん検診と健康診断の結果を総合的に判断
健康診断の検査項目には、肺がん検診と同じ「胸部エックス線検査」や「喀痰検査」は含まれていますが、特定の年齢以外の方などは省略可とされています。
それ以外にがんのリスクを調べられる検査はありません。
したがって、がん検診と健康診断の両方を受けることで、がんとがん以外のさまざまな病気のリスクを総合的に調べることができるのです。
がん検診と健康診断で充実した人生に
がん検診と健康診断の両方を受けることで、健康管理がより充実します。
健康診断を受けてさらにがん検診まで受けること自体、健康への意識が高い証拠です。
どちらかで「要精密検査」などと判定され詳しく調べた結果、異常なしと診断された場合でも、生活習慣を見直すきっかけになります。
また、健康診断で所見ありとされた方は、医師や保健師から保健指導を受けられる場合があります。
健康管理には「運動」、「食事」、「休養」が重要です。
日々の生活でそれらを意識しながら、定期的かつ継続的にがん検診と健康診断を受診することが重要です。
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まとめ
本記事では、がん検診と健康診断について解説しました。
- がん検診の目的はがんの早期発見による死亡率低下、健康診断の目的は病気のリスクの確認と予防・早期発見。
- がん検診は、5種類のがんについて対象年齢や頻度が決まっており費用は安い。
- 健康診断は、会社員は年に1回受けなければならず自己負担額はゼロ。
- がん検診のメリットは早期発見の可能性があることで、それにより治療費が抑えられ治癒率も高くなる。
- 健康診断のメリットは病気の予防・早期発見につながることで、生活習慣の改善にもつながる。
- がん検診と健康診断の両方を受けることで、がんとがん以外の病気のリスクを網羅的に調べられる。
がん検診と健康診断を両方受けることには、多くのメリットがあります。
これから先の長い人生を健康にすごすために、両方の受診を検討してみてはいかがでしょうか。
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