卵巣がん発見に効果的な腫瘍マーカー「CA125」とは?概要や数値の見方など解説!

卵巣がんが増える30代以降の女性には、腫瘍マーカー「CA125」の定期検査をおすすめします。 卵巣は骨盤の奥深くに位置し、卵巣がんは初期症状がほとんどないことから、早期発見が難しいがんの一つです。

また、市区町村や職場のがん検診で、卵巣がん検査は行われないことも発見を難しくしています。そのため、任意での年1回の定期検査がおすすめです。

今回は、「CA125」の概要から、検査の流れや数値の見方、異常値が出た場合の対応等についてご紹介します。この記事を読めば、CA125検査の全てがわかるようになっています。

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卵巣がん検査に効果的なCA125とは?基本情報を解説

卵巣がん検査に効果的なCA125とは?基本情報を解説

がんのスクリーニング検査の一つとして、「腫瘍マーカー検査」があります。この検査は、がん細胞が作る特定の物質の量をモニタリングする方法です。

採血だけで患者の負担が少なく安価な検査ですが、精度が高くないうえに早期がんの発見には向いていないとされています。

そのため、卵巣がん検査では、内診や超音波検査等の他の検査も行い、それらの結果から総合的にがんの疑いがあるかどうかを判断します。

CA125は腫瘍マーカー検査の一種

「CA125」は、卵巣がんの代表的な腫瘍マーカーです。卵巣がんの腫瘍マーカーには、他にも種類がありますが、「CA125」が最も感度(がん患者で陽性判定が出る割合)が高いのでよく使われています。

CA125の数値が高いほど卵巣がんの可能性が高く、病状も進行している可能性も高いとされます。

しかし、卵巣がん以外の病気でも高い値を示すことがあります。例えば、子宮内膜症や子宮体がん、子宮頸がん、良性卵巣腫瘍、肺がん、膵臓がん、腹膜炎等です。

さらに、女性ホルモンの一種エストロゲンによって分泌が促されるため、妊娠や生理周期のタイミングによって数値が上昇することもあります。

そのため、CA125の数値は卵巣がんの可能性を示唆する補助的な検査項目で、この値が基準値を超えたからといって卵巣がんと診断されることはありません。

リスク検査として有用性が高いがんの種類

CA125は卵巣がんだけでなく、例えば以下のがんでも高い数値を示すことがあります。

  • 肝臓がん
  • 胆嚢がん
  • 膵臓がん
  • 胃がん
  • 子宮体がん
  • 子宮頸がん
  • 肺がん
  • 乳がん
  • 脳腫瘍

実際に医療機関でCA125が腫瘍マーカーとして使われるのは、感度が高い「卵巣がん」と「子宮頸がん」です。それ以外のがんでは感度が高くないため、他の腫瘍マーカーを使ったり、他の検査方法が行われたりします。

CA125との併用で効果が期待される「HE4」とは

CA125との併用で効果が期待される「HE4」とは

CA125は感度の高さから、卵巣がんの腫瘍マーカーとしてよく使われています。

しかし、良性の卵巣腫瘍等、他の病気でも高い数値を示すことから、卵巣がんで高い特異度(がんでない人で陰性判定が出る割合)を示す腫瘍マーカーが求められてきました。

2017年に新たに保険収載された腫瘍マーカー「HE4」は、卵巣がんで高い感度と高い特異度を示すことが確認されています。

HE4の概要と特徴

「HE4」は、ヒトの精巣上体で発見された糖タンパク質です。 後になって、卵巣がん組織での高発現が認められ、卵巣がん患者の血清中に高濃度で検出されることが判明しました。

HE4は、卵巣がんでの感度はCA125ほど高くありませんが、特異度は非常に高いことが確認されています。

すなわち、子宮内膜症や良性卵巣腫瘍等ではHE4の数値が上昇しにくく、卵巣がんの診断に有用な腫瘍マーカーといえます。また、卵巣がんの再発早期での数値の上昇も認められることがわかってきました。

なお、HE4は生理周期や妊娠による影響を受けにくい反面、閉経後に数値が高くなりやすいとされています。

CA125とHE4の併用検査のメリット

多くの研究者が、卵巣がんの腫瘍マーカー検査で、CA125とHE4の両方を同時に検査することをすすめています。

両者の相関性が低いため、感度に強みのあるCA125と特異度に強みのあるHE4が相補的な作用をして、診断の精度向上が期待されます。併用により、実際に感度が高くなることが確認されています。

近年、CA125とHE4の値に閉経情報を組み合わせて算出したROMA値(上皮性卵巣悪性腫瘍推定値)を、検査項目として導入する医療機関が増えています。

CA125検査の方法と流れ

CA125検査の方法と流れ

CA125検査を受ける場合の、一般的な方法と流れをご説明します。

他の卵巣がん検査(内診、超音波検査等)を受けない場合は、基本的に医療機関に行って採血してもらうだけなので、気軽に受診することができます。

初診の流れ

検査の流れはおおよそ以下の通りです。医療機関によって多少異なる場合があります。

  • 受診する医療機関が決まったら、電話またはインターネットで予約を入れる。
  • 予約した日時に医療機関に行き、受付を済ませる。
  • 問診表に必要事項を記入する。
  • 医師から診察を受ける。
  • 採血する。
  • 検査費用を支払う。
  • 後日、自宅に検査結果が送付される。

検査結果で「がんの疑いあり」「要精密検査」等の判定がされたら、必ず医療機関で詳しい検査を受けてください。

検査前の準備や注意事項

CA125検査を受ける場合の、「準備」と「注意事項」をご説明します。

① 準備

検査前の食事や運動の制限は特にありません。喫煙や飲酒については、予約時に指示があれば従ってください。 採血時に支障のないように前腕部を露出しやすい服装にしましょう。

② 注意事項

CA125は、エストロゲンによって分泌量が増えるので、以下の方は卵巣がんリスクの判定が正確にできない可能性があります。

  • 生理中の方、基礎体温が低温期の方

  • 妊娠中の方 ・不妊治療でホルモン剤の投与を受けている方

  • 体内でエストロゲン様作用を発揮する成分(大豆イソフラボン等)が含まれるサプリメントを摂取している方

生理中や妊娠中の方は検査を避け、不妊治療中の方は検査前に医師にその旨を伝えることが重要です。

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CA125の数値の見方

CA125の数値の見方

卵巣がんの腫瘍マーカーであるCA125の数値の見方についてご説明します。 CA125の基準値としては、一般的に「35U/mL」が用いられ、この数値以下であれば正常とされます。

ただし、がんでなくても生理中や妊娠初期にはCA125の数値が高くなり、閉経後には数値が低くなる傾向が見られます。検査結果を見る場合は、そのような受検者の事情も考慮に入れる必要があります。

また、子宮内膜症等、CA125の数値が高くなる病気は良性・悪性を問わずたくさんあります。

さらに、早期の卵巣がんでは、CA125は基準値内に収まることが多いです。そのため、他の複数の検査と組み合わせて判定する必要があります。

CA125で異常数値が出た場合の対応 

CA125で異常数値が出た場合の対応

CA125検査で「35U/mL」を超える異常値が出た場合には、どのような対応をするべきでしょうか。 先述の通り、CA125の数値が基準値を超えても、それだけで卵巣がんと診断することはありません。

他の病気の可能性もあり、病気ですらない場合もあります。 ここでは、複雑な説明を避けるため、もともと症状があり、CA125検査だけでなく内診や超音波検査でも卵巣がんの疑いがあると判定された場合についてご説明します。

精密検査を検討

内診・超音波検査やCA125検査で卵巣がんの疑いがあると判定された場合には、精密検査を行いさらに詳細に調べる必要があります。 精密検査としては、まずは「CT検査」、「MRI検査」を行います。

卵巣がん検査では、この2つの検査を併用することが多いです。それらの画像検査でがんの疑いが強まった場合は、「細胞診」や「組織診」を行い、確定診断がされます。卵巣がんでは、身体的な負担の大きい病理検査まで行わなければ、確定診断ができません。

① CT・MRI検査

CT検査は、エックス線を照射して身体の断面を撮影する検査です。広範囲の画像診断ができるため転移の有無も調べられます。

MRI検査は、核磁気共鳴現象を利用して身体の断面を撮影する検査です。骨盤内部まで検査することができ、腫瘍の有無や大きさ・位置もわかります。

② 細胞診・組織診

細胞診は、皮膚に針を刺して胸水や腹水を採取してがん細胞が含まれているかを調べる検査です。

組織診は、手術で卵巣の組織を切除して病理検査を行います。

定期検査で推移を確認

卵巣がん(悪性腫瘍)の診断がされた場合は、手術により病巣をできるだけ除いてから薬物療法が行われます。治療が終了し退院後は、治療効果や再発・転移の有無を確認するために定期検査を行う必要があります。

治療後1~2年目は1~3ヶ月ごと、3~5年目は3~6ヶ月ごと、それ以降は1年ごとが目安です。内診や超音波、腫瘍マーカー等の検査を行います。気になる症状や薬物による副作用があれば、主治医に報告しましょう。

また、良性腫瘍や境界悪性腫瘍の場合でも手術が行われ、場合によっては薬物療法も行われます。治療後は定期的に検査を受けることをおすすめします。

腫瘍が発見されなかった方も、定期的に検査を受けることで、早期発見できる可能性が高くなります。

CA125検査の費用 

CA125検査の費用

CA125検査を受ける場合の費用の相場についてご説明します。

人間ドックや健康診断のオプション等、任意で受ける場合は保険適用外となり、費用の相場は2,000~3,000円程度です。

ただし、他の検査でがんが疑われてCA125検査を受けることとなった場合は、保険が適用され1~3割負担となります。

まとめ

まとめ

今回は、卵巣がんの腫瘍マーカーCA125についてご紹介しました。それでは、大事なポイントをおさらいしましょう。

  • 腫瘍マーカー検査は、がんのスクリーニングのための検査。
  • 「CA125」は、感度が高いが、他の病気や生理・妊娠によっても高値を示すことがある。
  • 「HE4」は、卵巣がんで高い特異度を示す腫瘍マーカー。
  • CA125とHE4の併用で、精度向上が期待される。
  • CA125検査は採血だけで簡単だが、生理中・妊娠中は避けるべき。
  • CA125の基準値は「35U/mL」。
  • CA125検査で異常値が出て他の検査でもがんの疑いがある場合は、精密検査を受けるべき。
  • 卵巣がんの確定診断には病理検査が必要。
  • 治療後も、再発の有無確認のため定期検査が必要。
  • CA125検査の費用は、2,000~3,000円程度。

卵巣がんは早期発見が難しく、見つかったときは進行していることが多いです。罹患数が増える30代以降の方は、CA125検査を一度受けてみることをおすすめします。

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ご注意事項 リスク検査「ウィルテクト」の性質について:
当検査では、健常者とがん患者から得られた解析結果を照らし合わせ、リスクの度合いを情報として提示します。この検査は体内環境におけるリスクを把握することを目的としています。健康診断や精密検査などのメディカルチェックや疾患予防への対策検討等への参考として利用されます。

検査結果の有用性について:
診断を目的として実施する画像解析や血液・生化学検査等に代わるものではありません。また、体内にがんがあるかどうかを判断する検査ではありません。がんの診断にはがん種ごとに定められているガイドラインに基づく診断が必要です。

参考文献との関連性について:
紹介した検査は、参考文献の統計データを基にお客様の遺伝傾向を予測するものであり、現在のお客様の健康状態とは異なる場合があります。

医療行為との区別について:
当記事で紹介した検査は、医療行為に該当せず、診断ではありません。検査結果は医師の診断内容や処方箋を置き換えるものではありません。