女性のためのがん検診のすすめ〜女性特有のがんについて解説〜
女性特有のがんについて、正しく理解し定期的に検診を受けましょう。 「乳がん」と「子宮頸がん」については、自治体が提供するがん検診ならば、無料または安い金額で受けられます。
この記事では、女性特有のがんの種類とそれぞれの特徴や、がん検診の頻度と対象年齢、費用について詳しく解説します。
検診を何歳から受けたらいいのかわからない方や、受けようか迷っている方の一助になれば幸いです。
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女性特有のがんとは
女性特有のがんの中では、「乳がん」、「子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)」、「卵巣がん」が罹患数のトップ3です(2020年)。
特に、乳がんは女性の全てのがんの中で罹患数では1位で、死亡数も非常に多くなっています。 それぞれのがんについて、どのような特徴があるのか簡単に解説していきます。
なお、「検診」ではがんの疑いがあるのかを調べるスクリーニング目的の検査だけを記載し、確定診断のための検査には触れていません。
乳がん
① 概要
乳がんは乳腺の組織にできる悪性腫瘍で、多くは乳管から発生します。進行すると、周りの組織に広がり、リンパ節や骨、肝臓、肺、脳などに転移します。
② 症状
主な症状は乳房のしこりです。それ以外は、乳房のくぼみ、左右の乳房の非対称化、乳頭からの分泌物などです。しこりは乳腺症など他の病気が原因のこともあります。
③ 原因
乳がんには、女性ホルモンのエストロゲンが関わっていることが多いです。 「早い初経」、「遅い閉経」、「出産・授乳経験なし」、「高い初産年齢」、「飲酒」、「閉経後の肥満」、「遺伝」などがリスク要因と考えられます。
④ 検診
「問診」と「乳房エックス線検査(マンモグラフィ)」を行います。
子宮がん
子宮がんは、「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分けられます。
◆ 子宮頸がん
① 概要
子宮頸がんは、子宮頸部にできる悪性腫瘍で、腟に近いほど発見しやすく奥の方では発見が難しくなります。進行すると、周りの組織に広がり、リンパ節や肺などに転移します。
② 症状
前がん病変の時期には症状がほとんどありません。進行すると、不正出血や性交時の出血、おりものの異常などの症状がみられます。がんが周囲に広がると、下腹部の痛み、下肢のむくみなどの症状が出ることもあります。
③ 原因
主な原因は性交によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。多くの場合は免疫によって排除されますが、排除されず感染が続くと前がん病変を経てがんが発生します。
④ 検診
「問診」と「視診」、「内診」、「細胞診」です。
◆ 子宮体がん
① 概要
子宮体がんは、子宮体部にできる悪性腫瘍で、ほとんどは子宮内膜に発生します。進行すると、周囲の組織に広がり、肺や肝臓などに転移します。
② 症状
最も多い症状は、閉経後の不正出血です。進行すると、下腹部の痛みや下肢のむくみなどの症状が出ることもあります。
③ 原因
子宮体がんには、女性ホルモンのエストロゲンが関わっていることが多いです。「出産経験なし」、「遅い閉経」、「肥満」、「糖尿病」、「遺伝」などがリスク要因と考えられます。
④ 検診
「細胞診」などが行われます。
卵巣がん
① 概要
卵巣がんは卵巣に発生する悪性腫瘍です。進行すると、腹膜播種や周囲の組織への浸潤が見られ、リンパ節や肺、肝臓、脳、骨などに転移することもあります。
② 症状
早期の段階ではほとんど症状がなく、発見時には進行がんになっていることが多いです。 進行してくると、下腹部のしこりや張り・痛みなどの症状が現れます。がんがさらに大きくなると、膀胱や直腸、胃を圧迫することで、頻尿や便秘、食欲低下などを引き起こします。
また、腹水がたまると腹部が大きく突き出てくることもあります。さらに、卵巣腫瘍茎捻転が生じた場合は激痛を伴います。
③ 原因
卵巣がんの原因は、排卵回数との関連が指摘されています。 「妊娠・出産経験なし」、「高齢出産」、「早い初経」、「遅い閉経」、「遺伝」などがリスク要因と考えられます。
④ 検診
「触診」や「内診」、「直腸診」のほか、「超音波検査」や「画像検査」、「血液検査」のうちのいくつかを行います。
がん検診の頻度と対象
がん検診の目的は、がんの疑いのある人を見つけ出し、早期発見により全体の死亡率を下げることです。厚生労働省は、罹患数が多く死亡率低下効果が認められた検査方法があるがんを、がん検診の対象にしています。
女性特有のがんでは「乳がん」と「子宮頸がん」の2種類が対象です。 乳がんは40歳以上が対象で2年ごと、子宮頸がんは20歳以上が対象で2年ごとの受診が推奨されています。
「子宮体がん」の検診は、閉経後の不正出血などの症状がある方などが受けることになります。50歳以上の方の受診もおすすめです。 「卵巣がん」の検診は、40歳以上の方や家族歴などのリスク因子がある方の定期的な受診が推奨されています。
若いうちから定期的にがん検診を受けることを勧める理由
「30代だけど、がん検診を受けた方がいい?」といった疑問をお持ちの方もいると思います。がんの多くは40代や50代以降で罹患率が上がりますが、中には20代や30代からでも罹患率が上がり始めるものもあります。
国立がん研究センターが公表している「全国がん登録罹患データ」によると、年齢階級別の部位別がん罹患率(2020年、人口10万人対)は以下の通りです。20歳から54歳までのデータを示します。 乳がんは、30代から罹患率が急増します。
子宮頸がんは、30代から罹患率が増え始めます。 子宮体がんや卵巣がんは40代から罹患率が増え始めます。 がん全体にいえますが、遺伝や生活習慣によっても、若いうちからがんになる場合もあります。
検査機関による遺伝子検査を受けて、がんなどの病気のリスクを知っておくこともおすすめです。
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がん検診の費用と保険適用
それでは、女性特有のがんの検診費用の相場をご紹介します。また、がん検診で保険適用ができる場合や、再検査・精密検査でかかる費用についても解説します。
「検診は受けたいけれど高いのならやめようかな」という方も、安心して検診に行こうと思える内容となっています。
がん検診の費用はどれくらい?
がん検診の費用の相場は、以下のようになっています。なお、がん検診は治療目的ではないので、原則として健康保険の適用外です。
① 自治体のがん検診で受けられるもの
「乳がん」と「子宮頸がん」については、自治体による費用の補助があるため、自己負担額は安くなります。
どちらも、費用の相場は「数百円~3,000円程度」で、自治体によっては「無料」で受けられます。 例えば、東京都中央区(令和6年度)では、どちらも無料となっています。
② 自治体のがん検診で受けられないもの
「子宮体がん」と「卵巣がん」については、医療施設での自由診療となるため、自己負担額はやや高めになります。
子宮体がん検診の費用の相場は、「細胞診」のみだと「5,000~6,000円程度」です。 卵巣がん検診の費用の相場は、「内診」+「超音波検査」だと「4,000~5,000円程度」です。
がん検診の保険適用範囲は?
がん検診の費用は、原則として保険適用外ですが、保険が適用される場合もあります。 具体的には、何らかの自覚症状があり医師の判断のもとで検診を受ける場合は、保険適用となる場合があります。
その場合、1~3割の自己負担額で検診を受けることができ、5,000円の検査ならば3割負担だと1,500円となります。 例えば、不正出血の症状がある方が、子宮体がん検診を受ける場合などです。
再検査の費用はどうなる?
がん検診の結果、「要再検査」や「要精密検査」となる方もいます。2018年度のデータでは、乳がんと子宮頸がんで要精密検査と判定された割合は、それぞれ6.3%と2.1%でした。
そのような判定が出たら、必ず医療施設で再検査や精密検査を受けてください。がんでなかった場合は安心でき、がんの場合でも早期であるほど治癒率が高くなります。
再検査・精密検査の費用は保険適用となり、1~3割の自己負担となります。
以下に、精密検査について、3割負担の費用の相場を示します。
① 乳がん
・「マンモグラフィ」+「超音波検査」: 2,000~4,000円程度(追加で「細胞診」+「組織診」を行うと、プラス2,000~5,000円程度)
② 子宮頸がん
・「ハイリスクHPV検査(一括検査)」: 1,500~3,000円程度
・「膣拡大鏡検査」+「組織診」: 5,000円程度
③ 子宮体がん
・「組織診」: 4,000円程度
・「超音波検査」: 3,000円程度
④ 卵巣がん
「細胞診」や「組織診」が行われます。
確定診断のための「組織診」は、手術により組織を採取するため、他のがんと比べて費用は高額になると考えられます。
まとめ
今回は、女性特有のがんと検診について解説しました。
・女性特有のがんでは、「乳がん」、「子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)」、「卵巣がん」の罹患数が多い。
・はたらく世代の女性は男性よりがんになりやすく、女性特有のがんは30代以降で罹患率が上がるものが多い。
・「乳がん」、「子宮頸がん」は自治体のがん検診で受けられ、それぞれ「40歳以上」、「20歳以上」が対象。費用は安く、どちらも「無料~3,000円程度」。
・「子宮体がん」は「50歳以上または不正出血のある方」の受診がおすすめで、費用は「5,000~6,000円程度」。
・「卵巣がん」は「40歳以上の方」の受診がおすすめで、費用は「4,000~5,000円程度」。
・スクリーニング目的の検診は保険適用外だが、自覚症状があれば保険適用となる。
・再検査や精密検査の費用は保険適用で、自己負担額は数千円程度が多い。
多くのがんは、早期発見・早期治療により治癒率は90%近くになります。早期発見のためにも、20代や30代のうちからがん検診の受診を検討してみてはいかがでしょうか。
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