大腸がんの検査費用とは?初期検査(スクリーニング)と精密検査で解説

大腸がん検査は40歳以上の方は毎年受けることをおすすめします。

日本人のがん死亡数で大腸がんはワースト2位(2022年)で、がん罹患数ではワースト1位(2019年)です。食生活の欧米化により増加傾向にあります。 大腸がんの5年純生存率(2014-2015年)は、ステージⅠでは92.3%ですがステージⅣだと18.3%となります。早期発見のために定期的に検査を受けることが重要です。

今回は、大腸がんの初期検査と精密検査について、それぞれの検査の種類と費用の相場についてご紹介します。

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大腸がんの検査費用:初期検査(スクリーニング)

大腸がんの検査費用:初期検査(スクリーニング)

まずは大腸がんの初期検査(スクリーニング)です。

ここでは、「がんの可能性がある人」と「がんでない人」をふるいにかけます。「がんの疑い(要精密検査)」と判定されたら、精密検査を受け「がん」か「異常なし」かの診断をする必要があります。

大腸がんの初期検査としては、自治体や職場のがん検診で行う「便潜血検査」が一般的で、40歳以上の方は年に1回受けることが推奨されています。これ以外に、がんの可能性の有無を簡単に調べる方法として、「腫瘍マーカー検査」や「尿検査」があります。

便潜血検査

【概要】

「便潜血検査」は、2日分の便を採取し血液が混ざっていないかを調べる検査で、「検便」とも呼ばれます。赤血球のヘモグロビンに反応する免疫法により、大腸からの出血を検出します。 安く簡単にできる検査なので、40歳未満の方にもおすすめです。

【メリット

  • 自宅で検体を採取でき簡単で時間もかからない。
  • 費用は無料または低額。
  • 大腸がん以外の病気(ポリープ、潰瘍性大腸炎等)も発見できる可能性がある。

【デメリット】

  • 便に血が付着していない場合は、がんを見落とす可能性がある(偽陰性)。
  • 痔や月経がある場合は、陽性と判断される可能性がある(偽陽性)。

【費用の相場】

自治体や職場のがん検診の場合は、無料~1,000円程度です。 任意で受ける場合は、1,000~2,200円程度です。

腫瘍マーカー検査

【概要】

「腫瘍マーカー検査」は、血中のがん細胞が作る物質をモニタリングする検査です。大腸がんでは、CEAやCA19-9、p53抗体を腫瘍マーカーとします。 がんの治療中に効果を確認したり、手術後に再発の有無を確認したりする目的でも行われます。

【メリット

  • 採血だけなので簡単で時間もかからない。

【デメリット】

  • 腫瘍マーカーが高い値でも、がんでない場合や大腸がん以外のがんの場合がある。
  • 腫瘍マーカーが低い値でも、がんの場合がある。
  • 早期がんの診断には向いていない。

【費用の相場】

任意で受ける場合は、1種類あたり2,000~5,000円程度です。

【補足

自宅で採血して送付するがん検査キットも市販されています。

例えば、「ketsuken」の「男性向けがん検査」「女性向けがん検査」は、大腸がんを含む10種類以上のがんとその他の病気を腫瘍マーカーで検査します。 公式サイトで購入すると、20,460円(税込)です。

尿検査

【概要】

「尿検査」は、がん検査キットを使って自宅で採尿して送付する検査です。忙しくてがん検診に行けない方におすすめです。人間ドックのオプションとして導入する医療機関も増えています。

現在、以下の2種類があります。

  1. マイクロRNAを指標とする検査 尿中の「マイクロRNA」の組成を調べることで、大腸がんを含む7種類のがんリスクを個別に判定します。
  2. 線虫の習性を利用する検査 線虫ががん患者の尿の「がん特有のにおい」に誘引される性質を利用して、大腸がんを含む15種類のがんリスクを網羅的に判定します。がん種の特定はできません。

【メリット    

  • 採尿だけなので簡単で時間もかからない。
  • 検査キットの開発会社は信頼性の高い研究データを公開している。

【デメリット】

  • あくまでがんリスクの判定であり、がんの診断をするのものではない。

【費用の相場】

  1. マイクロRNAを指標とする検査 検査キット「マイシグナル・スキャン(一回コース)」を公式サイトで購入すると、69,300円(税込)です。
  2. 線虫の習性を利用する検査 検査キット「N-NOSE(1回検査コース)」を公式サイトで購入すると、16,800円(税込)です。

大腸がんの検査費用:精密検査

大腸がんの検査費用:精密検査

初期検査で「がんの疑い(要精密検査)」となった方は、精密検査を受け、がんかどうかを調べる必要があります。

大腸がんの精密検査は、基本的に「大腸内視鏡検査」です。狭窄等で内視鏡が入らない方は、「注腸検査」と「S状結腸内視鏡検査」の併用法となります(近年は「大腸CT検査」も選択できる医療機関が増えています)。

これらの検査で大腸がんと診断された場合には、「大腸MRI検査」や「PET検査」等で、より詳細に位置・深さ・転移の有無等を調べることがあります。

人間ドックのオプション等、任意で検査を受ける場合は、全額自己負担です。便潜血検査で陽性の方や、がんの疑いがあり詳細な検査が必要と診断された方は、保険が適用され1~3割負担となります。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

【概要】

「大腸内視鏡検査」は、内視鏡を肛門から挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体を直接観察する検査です。大腸がん以外にも、大腸ポリープ、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸メラノーシス等を発見できます。

異常な組織を採取して病理検査でがんの有無を調べたり、ポリープを切除したりすることもあります。 血便や便が細い等の症状がある方、家族に大腸の病気の既往歴のある方にもおすすめの検査です。

【メリット  

  • 検査時の苦痛は少なく、比較的短時間で終わる。    
  • 平坦な腫瘍や5mm以下の小さなポリープも発見できる。
  • 粘膜の色調も観察できる。    
  • 組織採取やポリープ切除もできる。

【デメリット】

  • 前日からの食事制限が必要である。    
  • 検査当日には約2リットルの下剤を飲む必要がある。
  • 内視鏡が粘膜を傷つけたり穴を開けたりする可能性がある。    
  • 肛門から内視鏡を挿入することに抵抗がある人もいる。
  • 大腸狭窄・癒着等で内視鏡が入らない場合もある。    
  • ひだに隠れた病変は発見しにくい。

【費用の相場】

観察のみの場合は3割負担で、5,000~9,000円程度です。

注腸検査(大腸バリウム検査)

【概要】

「注腸検査」は、肛門からバリウムを注入し、空気で膨らませて大腸全体のエックス線写真を撮影する検査です。 大腸がん以外にも、大腸ポリープ、大腸憩室症等を発見できます。異常が見られた場合は、内視鏡でポリープの切除等を行うこともあります。 内視鏡検査に抵抗のある方や、大腸狭窄・癒着等で内視鏡が入らない方におすすめです。

【メリット  

  • 検査時の苦痛は少なく、比較的短時間で終わる。
  • 病変部位の特定がしやすい。

【デメリット】

  • 前日からの食事制限が必要である。    
  • 前日から当日にかけて下剤や坐薬で大腸を空にしなければならない。
  • バリウムがうまく広がらないと病変を発見しにくい。    
  • 早期がんの発見が難しい。
  • エックス線による被曝のリスクがある。

【費用の相場】

3割負担で、4,000~6,000円程度です。

大腸CT検査

【概要】

「大腸CT(コンピュータ断層撮影)検査」は、大腸に炭酸ガスを注入し膨らませた状態でエックス線を照射して、三次元画像を作成し診断する検査です。 大腸がん以外にも、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、大腸憩室症等を発見できます。また、腹部全体を撮影するため、周辺の臓器も観察できます。

【メリット

  • 検査時の苦痛が少なく、比較的短時間で終わる。
  • 大腸周辺の臓器も観察できる。
  • 画像は360度回転でき、ひだに隠れた病変も発見しやすい。

【デメリット】

  • 前日から食事制限をしたりバリウムや下剤を飲んだりしなければならない。
  • 平坦な腫瘍や5㎜以下の小さなポリープを発見しにくい。
  • エックス線による被曝のリスクがある。

【費用の相場】

3割負担で、6,000~11,000円程度です。

腹部超音波検査(エコー検査)

【概要】

「腹部超音波検査」は、腹部表面に超音波を当てて反射度の違いを基に画像化して臓器の様子を観察する検査です。内部にガスが含まれる肺や消化管の診断は難しいとされます。大腸がんが肝臓等へ転移しているかを確認するために使われることがあります。 近年は「超音波内視鏡検査」という方法も開発されています。肛門から超音波を出すプローブがついた内視鏡を挿入し診断を行う方法です。粘膜下の腫瘍や微細な病変も発見でき、周囲の臓器の観察や細胞の採取もできます。

【メリット

 ① 腹部超音波検査    

  • 苦痛が少なく、短時間で終わる。

② 超音波内視鏡検査    

  • 粘膜の内部の腫瘍も発見できる。    
  • 周囲の臓器の病変も診断できる。    
  • 細胞を採取して病理検査をすることもできる。

【デメリット】

① 腹部超音波検査    

  • 大腸がんを見つけることは困難。    
  • 精度は検査官の技量に左右される。

② 超音波内視鏡検査    

  • 肛門に内視鏡を挿入することに抵抗を感じる人もいる。    
  • 通常の内視鏡検査より苦痛が大きい。

【費用の相場】

① 腹部超音波検査    

3割負担で、1,500~2,400円程度です。

② 超音波内視鏡検査    

実施している医療機関が少なく、費用は調査中です。

大腸MRI検査

【概要】

「大腸MRI(核磁気共鳴画像法)検査」は、核磁気共鳴現象を利用して腹部の臓器の断層写真を撮影する検査です。 大腸がん、腸閉塞等の診断をすることができます。がんと良性腫瘍との違いも明確にわかります。また、転移の有無も調べることができます。

【メリット

  • 早期の大腸がんの発見に有効である。
  • 周囲の臓器の病変も診断できる。

【デメリット】

  • 検査時間は長めで、検査中は体を動かさないように指示される。

【費用の相場】

3割負担で、7,000円~14,000円程度です。

PET(ペット)検査

【概要】

「PET(陽電子放出断層撮影)検査」は、放射性同位元素を付加したブドウ糖を使い、がん細胞に取り込まれたブドウ糖の分布を画像化する検査です。1回で全身のがんの有無や転移・再発の有無を確認できます。

【メリット

  • 1回の検査で全身のがんを診断できる。
  • 検査時の苦痛は少ない。
  • 他の検査で見落としたがんが見つかることもある。

【デメリット】

  • 脳腫瘍・早期胃がん・早期食道がん・腎がん・膀胱がん等、発見しにくいがんもある。
  • ガンマ線による被曝のリスクがある。
  • 任意で受ける場合は、100,000円以上と高額になる。

【費用の相場】

3割負担で、30,000~45,000円程度です。

S状結腸内視鏡検査

【概要】

「S状結腸内視鏡検査」は、肛門から内視鏡を挿入して直腸とS状結腸を観察する検査です。大腸の中でも特にがんが発生しやすい直腸とS状結腸に的を絞った検査となります。 検査前の準備は浣腸を行うだけです。鎮静剤を使わないので、組織の採取やポリープの切除は行いません。 負担の少ない検査をしたい方、血便の原因が痔と腫瘍のどちらなのかを調べたい方におすすめの検査です。

【メリット

  • 検査時間は非常に短い。    
  • 食事制限の必要はない。
  • 内視鏡で病変を直接観察することができる。

◆デメリット

  • 肛門から50~60cmの範囲に限られ、大腸全体の観察はしない。
  • 内視鏡が粘膜を傷つけたり穴を開けたりする可能性もある。

【費用の相場】

3割負担の場合、3,000円程度です。

がん検査キット「ウェルテクト」もおすすめ

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手軽に大腸がんやその他のがんのリスクを調べたい方には、がん検査キットがあります。 その中でも、「ウェルテクト」が特におすすめです。

「ウェルテクト」は株式会社ウェルフォートが提供する健康管理をトータルサポートするヘルスケアサービスです。価格は330,000円(税込)です。 4つのサービスが含まれ、そのうちの1つ「がんリスク検査」では、以下の3つが提供されます。

尿検査は初期検査(スクリーニング)の位置づけで、高リスク判定が出たらアドバイスに従いがんドックを受診しましょう。
  • がんリスク尿検査セット(年3回)
  • 「高リスク」と判定された場合のがんドック受診(年1回、20万円まで無料)
  • オンライン相談、セカンドオピニオンの手配等 自身で採尿して郵送すると、がんリスクが4段階で評価され結果が送付されます。
  • 他の3つのサービスは「オンライン健康相談」「血液検査」「遺伝子検査」で、検査の進捗サポートも受けられます。
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まとめ

まとめ

今回は、大腸がん検査の種類と費用についてご紹介しました。

  • まずは初期検査で「がんの可能性がある人」をスクリーニングする。
  • 初期検査は「便潜血検査」が一般的で、40歳以上で年1回の受診が推奨されている。簡単で費用が安い。「腫瘍マーカー検査」や「尿検査」もある。
  • 初期検査の結果が「要精密検査」の人は、精密検査でがんかどうかを調べる必要がある。
  • 精密検査を任意で受ける場合は全額自己負担、便潜血検査で陽性の人は1~3割負担となる。3割負担で数千円の検査が多いが数万円のものもある。
  • 精密検査は原則として「大腸内視鏡検査」で、「注腸検査」と「S状結腸内視鏡検査」の併用法もある。
  • これらの検査で大腸がんと診断されたら、「大腸MRI検査」、「PET検査」等でより詳細に調べる。

死亡数が多い大腸がんですが、定期的に検査を受けることで早期発見につながり、治癒率も高めることができます。この記事により、読者の皆様が大腸がん検査についてご理解を深める一助になれば幸いです。

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ご注意事項 リスク検査「ウィルテクト」の性質について:
当検査では、健常者とがん患者から得られた解析結果を照らし合わせ、リスクの度合いを情報として提示します。この検査は体内環境におけるリスクを把握することを目的としています。健康診断や精密検査などのメディカルチェックや疾患予防への対策検討等への参考として利用されます。

検査結果の有用性について:
診断を目的として実施する画像解析や血液・生化学検査等に代わるものではありません。また、体内にがんがあるかどうかを判断する検査ではありません。がんの診断にはがん種ごとに定められているガイドラインに基づく診断が必要です。

参考文献との関連性について:
紹介した検査は、参考文献の統計データを基にお客様の遺伝傾向を予測するものであり、現在のお客様の健康状態とは異なる場合があります。

医療行為との区別について:
当記事で紹介した検査は、医療行為に該当せず、診断ではありません。検査結果は医師の診断内容や処方箋を置き換えるものではありません。